2003/04/02 経済産業委員会
中山質疑全文
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政府参考人出頭要求に関する件 |
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●村田委員長
中山義活君。
●中山(義)委員
大臣とは、通産大臣に就任したころ、私、ちょっとアメリカのエネルギーに対する戦略性ということで議論をしたことがありまして、通産大臣のその当時、今はもう省の名前が変わりましたけれども、あの当時、アメリカの戦略性ということを、オレンジ計画だなんだと平沼大臣から聞いたような気がするわけです。やはり、アメリカという国が超大国で、非常に戦略性を持っていろいろなことをやっているということがよくわかるわけですね。
経済の面でも、ヤング・レポート以来、やはり日本をどういうふうに経済的に対応するかということで、BIS規制だとかISOだ、または不良債権の回収をブッシュさんが森さんに言ったとか、あの当時も随分ありましたよね。二〇〇二年までに不良債権を全部なくす、その後小泉さんも同じような約束をしたと。そうやっていろいろな意味で、経済的にもアメリカが日本に圧力をかけてくる。そういう面では、特にエネルギーの問題についても大変戦略性が高い。
例えば、石油で考えてみれば、ベネズエラの問題は、アメリカは相当、次の戦争をしかけるんだったら、ある意味じゃ北朝鮮じゃなくてベネズエラじゃないかとか、そんな話まで出ていたくらいですし、メキシコ湾からカナダからカスピ海から、すべて石油はこういうふうに自主採掘のようになり、いろいろなルートを保ってやっているわけですね。しかも、じゃ中東依存どのくらいかというと、一四%ぐらいなんですね。いかに全世界にそういう石油のシフトを張りめぐらしてあるか。また、石炭もアメリカに二百年ぐらいはいつでも継続できるぐらいのものを蓄えているとか、いろいろな意味でアメリカがそれだけ戦略を持ってやっているわけですね。
だから、今回の戦争においても、やはり超大国アメリカが何らかの戦略でやっているような気がして仕方がないんですが、日本はただそれに追従していくだけではやはりまずいわけですね。日本が独自にアジアの石油であるとか、もっと戦略的にアジアを動かしていけないのかどうか、こういうことも考えると、もうちょっと大臣の口から、いや、実はこういう戦略を持ってアジア全体を巻き込んでいきたい、こういうふうに発言があっていいと思うんです。
例えば、備蓄の問題なんかは、特にリーダーシップをとって日本がやっていくべきだと思うんですね。この辺から始めていって、アジアのエネルギーというものをやはり日本が少し牛耳っていく、または日本がリーダーシップをとっていく、この辺を、お考えがあれば聞かせていただきたいと思うんですが。
●平沼国務大臣
そういう戦略性を持ってやるということは、非常に大切です。
アメリカの例をお出しになられました。例えば、アメリカなんかは、今イラクと戦争をしておりますけれども、実際はイラクのいわゆる輸出量の半分をアメリカが買っていたというような、そんな話もございまして、そういう意味でも非常に戦略的だな。日本はイラクからは、幸いといいますか〇・三%というようなことでございまして、大変戦略的な国だと思います。
今、備蓄に関しての戦略、こういうことでどうか、こういうお話なんですが、実は、昨年の九月に大阪で私が主宰をいたしまして、いわゆるIEA、石油の消費国の対話をさせていただきました。そのときに、OPECの皆様方も、消費国が大阪でやるんだったら合わせてやろうという形で、非常に異例のことでしたですけれども、産消が一堂に会した、そういう国際会議が開かれました。
その中で、私どもは、やはりアジアというのは非常に大切だ、こういう観点で、私が呼びかけまして、そしてASEANプラス3、これは日本と中国と韓国、プラス3が入りまして、日本の備蓄は百七十一日ある、そして韓国も備蓄はしておりますけれども、その他の国々はほとんど、先生御承知のように備蓄をしておりません。ですから、一たん緩急あったときに、一国だけの備蓄ということでは事が完結できないわけです。例えば、ASEANとも中国とも韓国とも、それぞれお互いが補完関係にありまして、一国で石油の途絶が起こりますと即それぞれの国の経済にリンクをしている問題であります。
そこで私が提唱をいたしまして、ASEANプラス3で備蓄の一つの会合をつくっていこう、こういうことで全員の賛成をいただきまして、実はきのうたまたま、私のところにインドネシアのエネルギー・鉱業大臣が来られてもおりましたけれども、もう既に事務的な会合は進んでおりまして、また四月にはさらにこれを拡大してやる、四月十日、十一日にそういう形でさらに拡大会議が行われ、そしてこれから具体的なことについて、備蓄に関するASEANプラス3の枠組みをつくっていって、そしてお互いに協調体制を持って備えていこう、こういう形で努力をさせていただいている、こういうことでございます。
●中山(義)委員
私どもは、アメリカにだけ顔を向けているんじゃなくて、やはりアジアというものを相当意識してもらいたいと思うんですね。特に中国は、国家備蓄も一応ない、民間備蓄もないと言われているわけですね。しかも、輸入国になってからもう久しいわけですね。この戦争によって何が起こるかわからないような状況ですよね。だから、今は確かに石油の値段は安定していますが、戦争の状況によっては何が起こるかわからない。パニック状況が起こる可能性だってあるわけですね。
そういう面で、私どもは、やはり中国に対してもうちょっと影響力を行使してもらって、これを契機に何らかの形で石油に関してもっと中国に対していろいろなことが言えないのかどうか。何か、今の国家の考え方を見ていても、特にアメリカとの問題が一番大きく今クローズアップされていますが、やはり後ろを向いてよく考えれば、日本はアジアの一員なわけですよ。このエネルギーの問題というのは、やはりリーダーシップをとるいいチャンスだと思うんですね。
だから、端的に言えば、日本はサハリンの方へ向けてパイプラインをつくる、しかし、それでは需要が日本の中ではまだ足りない、その場合には、アジアというものを意識して、サハリンからLNGを輸入するなり、またガスとしてパイプラインを引くなり、いろいろな発想が出てくると思うんですが、アジアというものを意識しないと、ちょっと日本の中の今のLNGの需要や天然ガスの需要というのは、足りないと思うのですよ。だから大きな事業がなかなか成り立たない。サハリンから持ってくるにしても、日本がもっと総需要を高めなきゃならないということですね、天然ガスやなんかの。
そういう面でも、アジアというものをリードして何かやっていく気持ちがやはり経済産業省に必要だと思うんですが、いかがですかね、その辺。
●平沼国務大臣
重要な御指摘だと思っています。
私どもは、やはりアジアというものは、例えば、北米にNAFTAというのがあり、EUは共通の通貨までつくって、そして、十カ国さらにふえて加盟して、巨大な一つの大きな経済圏ができる。そういう中で東アジアということを考えたときに、やはり東アジアだけでも人口が二十億人を数えるわけでありますし、それから、現時点のGDPも積み上げていきますと、日本が大宗を占めますけれども、しかし七兆ドルのそういうGDPがある。そして、それぞれ非常に発展力、潜在力がある。こういう形で、やはり日本がリーダーシップを持ってやっていかなきゃいけない。
中国もASEANに向かいまして、自由経済の連携協定を結ぼう、こういう提案をし、小泉総理も同様に、これはほぼ同時期に、こういう経済連携をしよう、こういう形でそれは進んでいるわけであります。
ですから、私どもは、やはりアジアに、中国との連携も密にしながら、しかし、何といっても日本が一歩、二歩先を行って、リーダーシップを持って、そしてその中でいわゆる中心的な役割を担っていくということは絶対に国家戦略上必要なことでございます。
私どもは、例えばシンガポールで最初のFTAをやりましたけれども、これをさらにもっともっとアジア諸国に拡大をして展開していく、こういうこともやっていかなきゃいかぬと思いますし、いわゆるパイプライン、天然ガスのお話をされましたけれども、これもことしの一月に小泉総理がプーチン大統領と会談をしたときに、中山先生もよく御承知ですけれども、ここでお互いに共通の認識を持ちまして、そしてパイプライン構想、こういうものをつくりました。
そういう中で、今これは煮詰めの段階に入ってきていまして、一つは中国の大慶に至る中国のルートと、それからナホトカに抜ける太平洋のルートがございます。それからあと、サハリンの沖に一号、二号という大変有望な天然ガスが既に開発されています。
こういったことを総合的に考えて、需要の喚起という面がありました。しかし、太平洋側のナホトカにできますと、これは例えばアメリカの西海岸まで視野に入れることができるわけでございますから、そういったことも含めて、我々は、やはり国のプロジェクトとして、そしてアジア圏のそういう一つの大きな布石としてやっていかなきゃいけない。私、おっしゃるとおりだと思っておりまして、経済産業省がイニシアチブを持ってやらなきゃいかぬ、こういうふうに思っています。
●中山(義)委員
今まで石油公団という会社がありまして、そこが石油のことについてはリーダーシップをとってやっていたやに言われているわけですが、実は、いろいろ借金を抱えたり、とんでもない負債を持っているということで、やはり大きな問題があったわけですね。これは国が主導していくのか、やはりそういう民間会社にやらせていくのか、国家プロジェクトというような意味合いが私どもよくわからないんですよ。
例えば国内の需要をふやすにしても、ガス会社と電力会社があります。これは相互乗り入れを最近はするようになってきて、恐らく、電力会社がガス会社をやったり、ガス会社が電力会社をやるような時代が来ると思うんですね。そうしなければエネルギーのうまい活用ができていかないような気もするわけですが、本当に日本だけでLNGの需要がふえていくのかどうか、いわゆる天然ガスがパイプラインで入ってきたとき、ガスとして。そのときに、それだけ需要が喚起できるのか。
例えば車の場合、天然ガスを活用した、なるべく排気ガスが、環境に優しくするためには、やはり天然ガスを活用した方がいい。ところが、じゃ日本全国に天然ガスのスタンドなんというのをつくれるのかどうかとか、いろいろな作戦が必要なわけですね。だから、そういう戦略なくして、ただサハリンから、サハリン1が有望だ、サハリン2が有望だといっても、需要もないのに持ってこられないわけですよ。
だから、私は、日本の需要とアジアとの関係でどういう戦略を持ってやっていくかということがないと、これはまた、石油公団じゃないですけれども、全然先行きがわからなくて、国との連係プレーもよくわからないし、国の持っている戦略をそういう企業がやるのか、または企業に勝手にやらせるのか、その辺をちょっとお示しいただきたいんです。
それからもう一つ、さっき言った、中国が国家備蓄がない、それから民間備蓄もない。これは、中国とはもうしょっちゅう頻繁にエネルギーについては意見を交換しているのかどうか、その辺もちょっと。
●平沼国務大臣
天然ガスシフトに関しては、インフラの整備、そういうものは非常に大切だと思っております。天然ガスの利用促進をエネルギー政策上の重点的な課題に位置づけて、さまざまな取り組みを行っておりまして、国内に関しては、例えば老朽火力発電所や産業用のボイラー等の石炭等から天然ガスへの燃料転換の推進、こういうことをやれば相当需要が出てくると思います。
それから、ガスコージェネレーション、これも最近いろいろ、例えばコンビニなんかで利用するようになってきました。こういったことの利用を進めていく。それから、天然ガス自動車等の導入促進、これはやはりインフラも伴いますけれども、これもやらなきゃいかぬと思っております。それから、高効率の小型の天然ガスコージェネレーション、こういうものを私どもはやっていかなきゃいかぬと思っています。
日本はやはり自由主義経済の国ですから、私は、小泉総理が言っているように、民間の活力を最大限活用しながら、そして経済効率を高め、経済の活性化を図っていく、これが基本だと思います。しかし、そこにやはりエネルギーですとか今言った天然ガス、こういったものは、国が基本的なそういう一つの戦略部分というものをやはり打ち立てて、その中で、自由な競争原理の中で力が出るような、そういう仕組みをつくっていくことが私は日本では必要だと思っております。アメリカなんかも、そういう戦略と自由主義経済というものを協調させながらやっているということは事実です。
そのためには、やはりそういう産業が自由に活動しやすい、そういう規制緩和でございますとか税制ですとか、そういった条件整備をしていくということは絶対に必要だと思っています。
それからもう一つ、中国とのそういう意思の疎通ですけれども、これは資源エネルギー庁のそういうレベルの中で、特に昨年の九月からそういう備蓄の問題でお互いの認識が確立できておりますから、これは頻繁に行われている、これからもやっていかなければいけない、こう思っております。
●中山(義)委員
エネルギーの問題はやはり経済にとって相当大きな問題ですし、本当にアジアで日本が存在感を示すいい機会だと思うんですね。ぜひこれは、備蓄がゼロなんという国が隣にあって、日本の消費量を上回っていくというような大きな、今世界の工場が隣にあって、そこがとんでもない問題を起こしたら、やはり波及効果というのはとんでもない形で日本に起きてきますから、中国との話し合いというのはやはり頻繁にやる必要があると思うんですね。それによって、また中国と日本とのエネルギーを通じたかけ橋ができてくるんじゃないか、ぜひ続けていただきたい、このように思うんですね。
それと、先ほどお話がありましたとおり、インセンティブはやはり、さっき税法だと言いましたけれども、原子力の問題でも、先ほど国家がどこまで、それから天然ガスの問題でも同じだと思うんですね、やはり国家がどこまでやるか。
パイプラインで引く場合には、これは乗数効果のすごい高い公共事業だと思いますよ。また亀井さんの名前を出して申しわけないんですが、亀井さんがよく、五十兆円だとか、やはり財政出動が今の景気の中で必要だと。その中で、乗数効果の高い公共事業というのは、探していきますと、天然ガスのパイプラインを引くというのは極めて乗数効果の高いものだと思うんですね。そういう面で、ある一番太いパイプラインは、ここまでは国が公共事業としてということも考えられると思うんですよ。
私は、エネルギーの問題は、原発もそうですが、やはり相当国が責任を負わないと、これは大変な問題になってくると思うんですね。毎日毎日、新聞を読んでいると、東電の方では、いやマイナスで実は一五%、要するに九百五十万キロワットは必ず足りないんだと。この間はゼロだったはずなんですよ。急に今度マイナス一五%になったり、何だか知らないけれども、毎日毎日の新聞記事から見る限りにおいては、国民が非常に不安になる要素ばかりですよ。
現実は、じゃ国がどうやって管理していくか、いや絶対大丈夫だと大臣が胸をたたけば安心するんだけれども、これは本当に民間にこのまま任せておいて、彼らの口から出る、ゼロだ、マイナス一五だ、こんなことを報道させておいていいんですか。国民に不安を呼び起こすようなことになりませんか。
もし逆に、わざとマイナス一五だと言っておいて、早く原発立ち上げろという、そういう世の中の世論を沸き上がらせる、そういう作戦か、または節電とかそういうことをやるためにあえて言っているのか、その辺はちょっと、国民によっては間違ったとらえ方をするといけないから、ゼロだかマイナス一五だかはっきりしてくださいよ。新聞によって違ったり、これはすごく国民にとって不安だと思いますよ。これはどうなんですか、ゼロなんですか、一五なんですか。
●平沼国務大臣
いろいろの想定でそういうことになっていると思っています。
私どもが一番心配しておりましたのは、この二月ぐらいの冬場の最需要期、ここは古い火力発電所を急遽立ち上げる、あるいは他の電力会社から融通してもらうという形でしのいでまいりました。現時点は不需要期でございます。しかしこれが、一年に二回需要期があるんですが、夏の一番のピーク時というのは今までの記録でも大体六千三百四十万キロワット。それと、今全部とまった、そういうところを想定しますと、今の事業者が言った数字に相なると思います。
ですから、私どもとしてはもちろん、そういう厳しい状況にあるということを国民の方々に御理解をいただくことは必要でございますし、また、いかなる場合でもエネルギーをむだに使わないということもこれは大切ですから、節電を呼びかけさせていただくということも私どもは並行的にやることが必要です。ですから、そういう意味では、余りおどかすような、それからまたデータが違うようなことはないように私どもは努力しますし、また、そういうデータが出たときにはしっかりとした裏づけというものも同時に、こういう状況の中ではこうですよと説明責任は果たしていくべきだと思っています。
そういうことで、この午前中来の御質疑の中でも、今原子力発電所の停止の中で、この夏どうなるのか、本当に国民の皆様方が心配されていますし、また、私どもに来る海外からのお客様もこういうことを御存じで、その辺の状況を聞かせてくれというような話もよく出ます。ですから、世界も心配していることでございまして、私としては、責任者として本当に、これは絶対に電力のいわゆる断絶が起きないように、私どもは最大限努力をしていきたい、こういうふうに思っています。
●中山(義)委員
最近、社説を見ても、できる限り国民の不安を解いて、国民によく説明をして、原子力発電を早く再稼働させるべきだというような記事がよく出ています。それに何かバックアップするような、逆に不安をあおって、早くやらせようという世論を喚起するのかななどというふうに勘ぐるような記事ですね。だから、やはりもうちょっとちゃんとしたデータで言ってくれないと私は困るんですね。
夏の高校野球をやっているころが一番ピークだとよく言われるんですが、高校野球をやっているときに、野球の選手はみんな汗水流しているんだから、冷房をとめて、我々も汗水流してテレビを見ろと。だけれども、そういうような状況よりも、現実問題としてはもう冷房をがんがんかける、そういう生活になれてしまっているんですよ。電気だってつくのが当たり前。
私は体操教室をやっていて、子供を合宿へ連れていったりなんかしていたんですが、ファイアストームをやるとき、全く暗くなるという状況をほとんど知らないんです。だから、本当に電気が消えた暗さというのは、まずほとんど子供たちは知りませんよ。だけれども、電気がついているのが当たり前だという社会になっているわけですから、もし切れたときの混乱というのははかり知れないものがあると思うんですね。
私は、そういう面では、安定供給という問題と安心というか安全というような問題、これはやはり絶対ないがしろにはできないんですが、このデータをまともに言って、変な不安をかき立てたり、また、そういう世論を使って早く稼働させるというような意識がもしあったとすると、危険だなという気がするんですね。その辺は、ぜひ慎重にお願いいたしたいと思います。
それから、先ほどちょっと天然ガスの問題でお話をしたんですけれども、天然ガスを引いてくるというのは、一つは、税法や何かのインセンティブも必要なわけですね。さっき、何だ、天然ガスの税金を取ってと。要するに、石炭から天然ガスへというシフトがうまくいかないのじゃないかというような税のかけ方だという論議をされていましたね。私もそう思うんですが、天然ガスにシフトしていくとすれば、そういうインセンティブを税法というのはやはり考えなければいけないんじゃないかと思うんですよ。
例えば土地を流動させるとすれば、土地を売買しても税金をなるべく低くするとか、例えば国債を買わそうと思えば、お年寄りが国債を買った場合、それをお孫さんに渡す場合は一切相続税はかけないとか、そういうふうにやれば、税がある意味では物を買ったりするインセンティブになっていくわけですね。そういう面では何か余り、石炭から天然ガスにとか、石油から天然ガスにというようなシフトというのは、税金そのものから見ると余り描かれていないような気がするんです。さっき言った全体の戦略の中で、その戦略と税がぴったり合っているのかどうか、もう一回確認したいんですが。
●平沼国務大臣
確かに、そういう御指摘の点というのは考慮していかなければいけない問題であると思います。
しかし、先ほど来この件で議論させていただきました。例えば石炭を一つとる、あるいは天然ガス一つとっても、これをしっかりとしたイノベーションを起こし、インフラを整備して、そして国が必要なものをきちっと関与してやっていくというためには、やはり相当な経費がかかるわけであります。ですから、そういった技術革新でございますとか、新しいインフラ整備ですとか、そういったものに関して、やはり負担をしていただきながら総体的に伸ばしていく、こういう視点で、私どもはもう一つの視点、税の公平化、こういう形でやらせていただきました。
しかし、これが将来的に本当に基幹的になって、本当にこれにもっとインセンティブをつけなければいかぬというときには、我々としては、当然考えの中に入れていかなければいけない問題じゃないかな、こういうふうに思っています。
●中山(義)委員
そこで、一つはいわゆる安定供給という問題ですね。もちろん安全ということはあります。次は、やはりCO2を出さないという問題ですね。最後に、自由化というような問題もありますね。
この三つは、どれが一番重要かと聞けば、いや、どれも重要ですというお答えになると思うんですが、この税の中で、重点を置くとすればどこに重点が置かれているのか、ちょっとよくわからないんですね。さっき言ったように、石炭にも税金をかけてガスにもかける。何かちょっと、よく目的がわからないといいますか、安定供給とCO2を出さない、自由競争、この三つは戦略的にはどういう位置づけになっているのか、一回整理をしてお話しいただきたいんですけれども。
●平沼国務大臣
これは基本法の三つの柱でございまして、ちょうど、かなえの軽重を問う、こういう言葉がありますけれども、まさにそういうものでして、どれが太くて重いかということじゃなくて、それぞれが非常に重要な意味があると私は思っております。
エネルギーですから、これは安定供給というのは絶対に必要なことです。安定供給のためには、やはりあらゆることをやっていかなければいかぬ。それから二十一世紀は、いかにこの地球環境を守っていくかということが人類に課せられた課題でありますから、その視点も非常に大切でございます。それから消費者の立場に立てば、自由な競争の中で、それは一定の、一つの監視は必要ですけれども、自由な競争の中で、いい競争の中でコストインセンティブが起こって、そして安価なエネルギーが確保できる。
ですから、どれがということではない、この三つをやはり中心にして、しっかりとした政策展開をしていかなければいけない、このように思っています。
●中山(義)委員
少なくとも、アメリカは京都議定書を批准しないわけですね。中国もそうですね。そうなると、あの二つの国は安定供給と自由競争は一生懸命やっているけれども、CO2を出すということについては、ちょっと非常にひどいことをやっているわけですよ。日本は三つを何とか、今言ったように、何とか三つ一緒にやろう、これはエネルギーの基本法の中でそういうふうにやっているんだと言いましたけれども、これはやはり、CO2を出さないという問題だけに関して言えば、各国が地球というものを守る同じような立場に立っているわけですね。これだけはちょっと私も、もしそういうふうにおっしゃるならば、これは是が非でもアメリカを口説くとか中国を口説くとか、そういう活動をやはりしなきゃならないと思うんですね。
そういう面で、先ほどの、まずアジアだけでもしっかりやっていこう、発展途上国も含めて、やはり日本がリーダーシップをとるということが大事だと思うんですよ。中国とそれをやらないと、いわゆる自由競争、安定供給、そしてCO2を出さない、これはすごく、我が国だけがCO2を出さない、あとの二つはと、ちょっとこれはおかしいと思うんですね。我が国だけが三つやって、よその国はやらない、これは勝負にならないわけですよね。アジア全体の、先ほどいろいろな会議があると聞きましたけれども、その辺の共通認識というのはどうなんですか。
●平沼国務大臣
アメリカは、CO2の全世界の排出の四分の一を排出している最大の排出国です。やはり、このアメリカが京都議定書に参画をしないというのは、御指摘のように大変大きな問題です。アメリカはアメリカとして、自分たちは京都議定書に入らないけれども、我々は別の面でのそういう温暖化対策をやっているんだ、こういうことを言っています。しかしこれは、この枠組みに入ってもらうことが大前提ですから、機会あるたびに日本はアメリカにそのことは慫慂をしている、こういうことでございます。
それから一方、中国は、人口十三億の国でございまして、そしてさらに、毎年経済成長率が七%とか八%、大変でございまして、石油も、向こう二十年を考えたときには、全世界の石油量のふえる分の半分以上は中国一国だ、こういうふうに言われています。そうなりますと、大変な二酸化炭素の排出ということもありまして、これはやはり非常に大きな問題です。
ですから、中国が今回WTOにも加盟をした、そういう形で体制が整って、ある意味では世界の自由貿易、そして自由経済の共通の土俵に上がってきたわけですから、日本も、もちろん環境省も働きかけておりますけれども、我が方も事あるたびに働きかける。また、日本だけじゃなくて世界からも働きかけて、中国も、そしてさらには人口十億を擁するインドもそういった形で参画をしてこないと、本当のこの京都議定書の精神は生かされない。そういう意味では、アジアの枠組みの中で日本が一番努力をしていかなければいけない、こういうふうに思います。
●中山(義)委員
この質問も、先ほどいろいろ細かい点については個々に質問があって、田中先生も、最後は基本法に戻ってという話がありましたけれども、我々も、やはりこの問題はそういう、日本の国だけで独自の抱えている問題もありますけれども、やはりこのアジア圏で物を考えていかないと今後は済まないと思うんですね、すべてが。
それで、今回の戦争においても、それは北朝鮮が脅威だったということで、それが主な理由で、日本は安保条約というものについて、やはりこれをしっかり考えながら日本はアメリカを支持したという形になっていますが、超大国アメリカが、だからといって何でも自由にできるわけじゃないわけですね。やはり同じ立場に立って、CO2を出さないという立場に巻き込んでいったり、確固たる日本の立場を見せるには、このエネルギーの問題はいい問題だと思うんですよ。
それから、アジアのリーダーシップをとるについても大変重要な先進国だと思うんです、エネルギーに関しては。原子力もそうだし、それから、天然ガスにかえていくというような、少しでも環境に優しいエネルギーを使っていこうということもすごく先進国だと思いますし、備蓄に関してもそうですよ。非常に安定供給という面に関してもそう。いろいろな部分で日本がこのエネルギーに関しては先進国なんですから、やはり多くの国を巻き込んで、ここでこそ存在感を示すべきだと思うんですね。その辺はぜひ大臣にもお願いしたい、このように思います。
それから、今までは、エネルギーの四九%は、全エネルギーの半分近くを石油が担ってきたわけですから、どうしてもその石油を掘ったり石油を売買する会社というのは、日本にとって民間企業の中でも大事な役割ですね。
それで、最近、ジャパン石油の問題がよく出てくるわけですが、この会社はもともと、今の中東の石油にほぼ対応していろいろやっているんですが、中東の石油というのは自主採掘してもロイヤルティーがすごく高いとか、もう中東じゃもうからないというような話も随分あるわけですね。そこに相当金をつぎ込んで、現実的には失敗した。最近では民事再生法を申請して、ちょっと計画倒産じゃないかというような話まで出ているわけですよ。要するに、民間の資本も入っていた、そういう資本は全部一回抜いちゃって、また石油公団が出資した、一〇〇%で、第二の石油公団になって同じようなことをやるんではないか、こういうふうに言われているんですが、その辺、いかがですか。
●平沼国務大臣
ジャパン石油開発というのは、私も現地のアッパーザクム油田へ行きましたけれども、アブダビにおける恵まれた埋蔵量を有する我が国最大の石油自主開発プロジェクトです。このアッパーザクム油田なんというのは、メジャーが見向きもしなくて、非常に掘りにくいロケーションにあった。東京二十三区ぐらいの岩盤、岩の中にしみていたのを、日本が苦労して、努力をして、そして最近は日本が開発した技術が発達をしましたので、あと百年とれる、こういうような、非常に大変なそういう技術の蓄積があるわけでございます。
ただ、債務が累積をしているということは事実でございまして、これはやはり、為替の変動と設定をした油価とのそういうバランスの中で、不本意なことに財務状況が悪化していることは事実でございます。したがいまして、民事再生手続によりまして債務の処理をしまして、引き続き、これから百年あるわけでございますから、アブダビにおける油田操業を担うにふさわしい財務的に健全な企業として、早期に再生が図られることを私どもは期待しているわけでございます。
先般取りまとめられました石油公団資産評価・整理検討小委員会、小委員会を開いて答申をいただきました。その答申によりまして、ジャパン石油開発はやはりそういうポテンシャリティーがあるから、債務を速やかに処理した後に中核的な企業の一部を構成すべきものだ、こういう結論をいただきました。中核的企業というのは、横文字がはやっておりますけれども、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして、そういう役割を担った自立的な企業として、効率的な海外の権益の獲得でございますとかエネルギー供給の実現を通じて、我が国エネルギー安定供給の効率的な実現に貢献していくことが期待されているわけでございます。
こういう答申を踏まえまして、必要な民間株主等の合意を得つつ、中核的企業形成に向けた必要な処理を進めてまいりたいと考えておりまして、以上のことから、今御指摘の、第二石油公団をつくる、こういうために仕組まれた、こういうことではないということをひとつ御理解をいただきたい、このように思っております。
●中山(義)委員
民事再生法のいいところも悪いところもあるんですが、悪いところは、そこの役員や何かがかわらないというところだと思うんですが、この間の産業再生法のところでも、ある企業を再生する、これは大変な事業だと思うんですね、再生させるというのは。それで、やはり事業そのものが千三つと言われていて、千掘って三つしか当たらないという石油を今後もやっていくとすれば、また赤字が出る可能性もあるわけですよ。そういう会社と、どっちかといえば優良会社である国際石油開発とサハリン石油ガス開発、これをまた一緒にして、特に国際石油開発というのは民間の資本も入っているわけで、そういうところが果たして一緒に、これは経済産業省が恐らく音頭をとってやるんでしょうから、やるときに、一方の会社が、民間の資本が入っている会社が果たしてそれを快く受けて、産業再生法じゃないけれども、すばらしい企業に生まれ変わって、本当に世界というか中東で存分に力を発揮できるのか、その辺がよくわからないのです。
この辺、ちょっと決意を述べていただいて、私たちもずっとこの十年見守っていきたいと思うんです。これは今、完全に覚えていますからね、私も。これは、もしおかしなことがあったら、そのことは絶対に僕は責任があると思いますね。三社を合体させてジャパン・メジャーをつくるんだということだと思うんですよ。だけれども、これが本当に世界で活躍できるのか、その辺の考え方をちょっと述べていただきたいと思います。
●平沼国務大臣
私どもは、必ずこれが中核的な企業として活躍をしてもらわなければならないと思っています。そういう意味では、今まで確かにいろいろ代価も大きかったわけですけれども、先ほどちょっと御紹介したような、例えば油田の探鉱に関しても大変な技術ポテンシャリティーを持っていることであります。それから、例えば三次元の地震探査なんというのも日本が非常に大きな技術を持っています。そういうものが総合されるわけでございます。
したがって、千三つということを言われましたけれども、確かに不確かな世界であることは事実ですけれども、では、現実に世界の中で、巨大なメジャー以外で中核的にちゃんとやっている企業がないかといえば、そうじゃなくて、イタリアにもフランスにも、規模はメジャーの何分の一かですけれども、そういうリスクを負いながら立派にマネージしている、そういういわゆる上流部門をやっている企業があります。
ですから、私どもも、そういう今まで培った技術とノウハウ、そういうものをやはり効率的に投入して、そして、今まではどっちかというと親方日の丸で来ましたけれども、民間のそういう一つの力、活力、民間の考え方、こういうものをやはり中心に据えて私どもは運営ができると思っておりますし、しっかり覚えておく、こういうふうにおっしゃいましたけれども、覚えておいていただいて、結果としてよかったなと、こういうふうに私どもは育てていかなければいけない、こういうふうに思っています。
●中山(義)委員
とにかく、アジアでの日本の存在感といいますか、これを示すには、やはりアジアの中でのエネルギーの戦略的な計画がなきゃいけないと思うんですね。そういう面で、今後ともアジアを、エネルギーは我々は先進国だ、絶対引っ張っていくんだ、こういうつもりでやっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。