2004/5/7 経済産業委員会
中山質疑全文
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特許法等改正法案 |
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●根本委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。
●中山(義)委員
おはようございます。
ここにいる皆さんには大変さわやかな朝を迎えたと思うんですが、いろいろ私どもも思うところがありまして、今回、年金の問題や何かで大変、大臣を初め、御苦労されたと思うんですが、ぜひ、私どもにはっきり開示するものは開示して、正々堂々とわかりやすく議論をしていきたい、このように思っております。
それでは、知的財産の問題が出てくれば、これはなぜかといえば、産業の活力や産業の再生力や競争力をつけるためには、知的財産というのは、イノベーションのある意味では道具でもあり、インフラなんですね。そういう意味では、戦略を持って立ち向かっていかないと何にもならないわけですね。
ちょっと、この十年、二十年前を考えてみますと、日本の企業というのは非常に物まねがうまかったわけですよ。外国のトランジスタラジオでも、先に分解しまして、もっといいものをつくってしまう。ぼんぼん世界にトランジスタラジオを売っていく。日本の総理大臣はトランジスタラジオのセールスマンだ、こんなふうに言われた時期があるくらい、外国との競争力について、技術がよかったから勝っていた。しかも、人件費が安い、しかも通貨も安かった、こういうことですね。だんだんそれが、一九八〇年代になって、このままじゃ日本もまずいよということで、いろいろな提言がアメリカからされてきた。つまり、日本は輸出しているんですが、一番の大きなマーケットはアメリカだったんですね。だから、アメリカから、日米構造協議だとか日米包括協議とか、こういうもので非常に外圧がかかってきた。
その中の一つに、やはり特許というもの、つまり知的財産というものは、勝手に人のものを使ったらばこれは訴訟を起こしますよ。それも、日本で今まで起きた訴訟なんというのは、五百万とか一千万程度だった。それが、外国から訴訟されるととんでもない金額だ。その訴訟された金額によって会社がおかしくなる、こういうケースまで出てきたわけですね。
ですから、私たちは、本当に、戦略を持って特許というものをどう考えているのか、これをしっかり示していただきたいと思う。
例えば相手を中国と考えた場合、中国に対して、やはりアメリカが日本にとったような戦略というものも必要なんじゃないでしょうかね。例えば、特許というものを重要視していくプロパテント政策というものを、日本の新しい通商政策の中で大変大きな根幹を占めているものだ、こういう形で中国に対して向かっていかないと、今現在行われているようなことが、例えばブランドを勝手につけてしまうとか、意匠登録、デザインなんか勝手にまねられるとか、日本の特許というものを勝手に使っているというようなケースもあるかもしれないわけですね。そういうものをやはり強く取り締まっていくということでありますが、中国と日本の関係、なるべく友好的にやっていかなきゃいけない。そうなれば、アメリカと一緒になって、プロパテント政策、例えばWTOや何かに中国が加盟したんですから、どうやってこのプロパテント政策、日本の特許政策、特許戦略、こういうものを生かしていくのか、その戦略がないうちにいろいろなことをやっても失敗すると思うんですね。そういう戦略をまず御説明いただきたいと思います。
●中川国務大臣
おはようございます。
今の中山議員の御指摘は、基本論として非常に大事なことだろうと思います。
つまり、特許というのは、特許を発明した、あるいはそのほかにも意匠権だとかいろいろな、そういうその人が頑張ってつくったり発明したり発見したりしたものをどうやって守っていくか、守っていくことがそれに対しての次のインセンティブに結んでいくし、守られるということが一生懸命努力をするということにもつながってまいりますし、また、特許権を保護されることによって、また同じような苦労をせずに、その特許使用料を払うことによって有効に活用できるといういろいろなメリットがあるんだろうと思います。
今、中国というお話がありましたが、中国に限らず、まあ代表的には中国だろうと思いますけれども、そういうところに対して、日本なりアメリカなりいわゆる技術の先進国が、そういう技術をつくり、そして守り、そしてみんなで活用していく。そこは、今委員御指摘のように、WTOとかいろいろな条約で保護されながらまた利用をしていくということが大事だろうと思いますので、ぜひともその辺のことを、特に中国に関しては、大きな国、大国でありますし、またWTO加盟国でもありますし、市場あるいはまた生産工場としても大きなところですから、しっかりとルールを守ってやってもらいたい。そして、その上で、日本やアメリカやEUがそういうところで物事を生産していくということが大事だろうというふうに思います。
いずれにしても、先進技術がうまく活用できるようにしていくために、利用しやすい、そしてまた保護される、両面からこの特許制度の確立というものが世界的に必要になってくるんだろうということが基本だろうというふうに考えております。
●中山(義)委員
中国なんかも、日本の市場とアメリカの市場、同じような形で考えていると思うんですね。どちらもやはり市場として大きいわけですね。中国だって、一番大きく輸出できる相手といえばすぐわかるわけですから、その国とどうやって協調していくかということが大事だと思うんですね。そういう面で、日本は、そういう中国が世界にグローバルスタンダードでいこうというところをうまく引き込んで、やはり世界の同じような特許を守っていくという姿勢をつくっていかなければいけないと思うんですね。これは、日本だけじゃできないし、さらにEUも引き入れてやっていくという、本当は大変大きな運動だと思うんですよ。
その意味で私は、ヤングさんなんかがヤング・レポート、これは、例えば日本の企業というのが、土地を持ってさえすればどんどん金を貸した、また、株をどんどん、自社株を発行すれば、それも銀行が金を貸してどんどん消化できた、だから、お金がどんどんあるから、そのお金で外国までどんどん出て行って相当大きな活動を一九八〇年代にはしていたわけですね。ところが、やはり構造協議や包括協議で、BIS規制だとか、ビッグバンだ、何だかんだとすごい外圧が来て、日本もそんなに自由にお金をじゃんじゃん使えるような状況じゃなくなってきて、そういうような中で、ヤング・レポートという中に、特に知的財産というものが含まれていた。この知的財産によって相当、外国との訴訟や何かで日本もやられているわけですね。
ですから、我々は、この際、一つの戦略として、今言ったような話は大体総論的にはわかりましたけれども、知的戦略本部というのをつくったんですから、もっと具体的にこういうことをすると。
例えば、今まで、ヤング・レポートの中にも、スペシャル三〇一条を活用したり、アメリカはいろいろな手を打ってきているわけです。ウルグアイ・ラウンドにおいても、知的財産のルールをどんどん進めていくとか、知的財産の保護については国際的な戦略を持ってかなり日本にやってきたと思うんですね。ところが、どうも中国に対してそういうような戦略も読めないし、今後アメリカに対しても、何か大きな戦略として、骨太の、具体的な絵をかいたものを出さなければいけないんじゃないかと思うんですね。
いつも同じところでぶつかってくるわけですが、その辺、いかがでしょうか。
●中川国務大臣
ヤング・レポートというのは、中山委員も御承知のことだと思いますけれども、例えば自動車とか家電とかでアメリカが競争力がなくなってきた、主に日本に対して、これは大変なことになったぞということで、ヒューレット・パッカードのCEOだったヤングさんという方が委員長になって、アメリカ産業競争力委員会、これはレーガン大統領のもとでやって、アメリカは過去これだけ、ナンバーワンの競争力があったのに、どんどんその競争力が失われていって、残っているのはたしか航空機と農産物ぐらいしかないんだ、これじゃ大変だということで、そこに対して人材育成資金投入、研究開発等々をやった。それで、それをレーガン大統領に報告したのがヤング・レポートでありまして、今委員御指摘のように、実は我々としても、経済産業省として、あるいはまた政府として、産業創造力、産業創造のための新戦略というものを今勉強しておりますが、ヤング・レポートというものを我々ある意味ではもう一度勉強し直しております。私も何回も読み直しをいたしました。
日本にとって大事なものは何なんだろうということを、ただナノテクとかITとかバイオとか、これはもう世界の共通の競争事項でありますけれども、でも、それだけではだめなんじゃないか。例えば、日本の伝統的な技術、よく私はからくり人形とか発光技術とか、そういうものを例に出すんですけれども、これはもう日本が世界に誇る技術であり、今からあの精巧なからくり人形を今の日本でつくれといってもなかなか難しいぐらいに、もう今から二百年も三百年も前にそういうものができているわけでありますから、日本発の技術、技能、そして先端技術、これを融合した形で新産業創造戦略というものをつくっていきたいというふうに考えて、今勉強している最中でございます。
そういうことを生かして、これは中国だけではなくて、アメリカであろうがヨーロッパであろうがどこの国であろうが、単にまねすらできないぞ、簡単にはまねなんかできっこないぞというぐらいのものをつくっていく。あるいは、まねしたときにはきちっと知的財産権で守るんだぞというような形で、これから、新しい知的財産をベースとした、シーズとした物づくり、そしてそのための人材をこれから大いに育成していく必要があるという危機感と期待を持っているというのが私の認識でございます。
●中山(義)委員
今、からくり人形なんて言いましたけれども、こういう知的なものは、例えばコンテンツなんかも同じようなものだと思うんですね。日本でアニメーションなんか相当、どんどん進んでいる。しかし、一枚の絵をかくのに工賃が三百円しかもらえない。そうすると、日本じゃ十枚かいても一日三千円だ。これじゃ食っていけないわけですね。では、これは中国に任せた方がいいだろう、韓国に任せた方がいいだろうと。
要するに、工賃の安いところというのは、だんだんそうやって工業的に今強いわけですね、日本より。そういうところがそういうものをどんどん吸収していっちゃう可能性があるわけですよ。例えばレコードやCDでも、外国でつくった方が安いわけです。工業製品として安いわけです。コンテンツが含まれない形でいえば、全然向こうがつくった方が安いわけですね。そうすると、しっかりとした規制というものがない限りにおいては、必ず工業品を安くつくれるところからこっちへ還流してくるわけですね。だから、日本の技術というものが自然に向こうに定着して、それが還流してくる、こういうことになるわけです。
だから、日本も同じことをアメリカにある程度やっていたんですよ、一九七〇年から一九八〇年代ぐらいには。ところが、それが許されない時代になってきたということを、果たしてアジアの方もそれをしっかり認識しているかどうかというところにいろいろ問題があると思うんです。
日本はアメリカによって、相当な外圧で、私らが見ただけでも、CAFC、特許高等裁判所を設立したりバイ・ドール法ができたり、スペシャル三〇一条、これなんかはもう、知的財産保護の不十分な国は徹底的に監視していくというような法律案だし、それから、一九九五年にクリントン大統領は、中国政府について、模倣品対策としても相当集中的に交渉して、米中合意に基づき偽造のCD等の生産拠点を閉鎖させたとか、やはりアメリカはかなりそういう戦略的な気持ちで、これからはこういうものが大きいぞと。
特に、コンテンツ産業なんかだって日本が、簡単に計算しても、十兆円とかと言われていますね。今、日本のアニメ、すごい外国に行っていますよね、アニメーション。だから、そういうようなことも含めて見ると、やはりそういう戦略的なものが必要なんじゃないかと思うんですが、現在、中国なんかとは本当にちゃんと交渉して、アメリカも仲間に入れてちゃんとやっているんですかね。もうこの一、二年のうちにやらなかったら、これはどんどん、世の中のサイクルが今早くなっていますから、その辺を大臣にお聞きしたいと思ってさっきから質問しているんですよ。こういうこととこういうこととこういうことをやっているということを、できるだけ具体的に話をしてもらいたいということを言っているんです。
●坂本副大臣
先生おっしゃるとおりに、今、日本もそういう面で大変苦労をしておるわけでございますが、WTOとかそういう多国間協議で、あるいは二国間協議などで、模倣品を製造する相手国政府に対して取り締まりの強化、罰則の強化をするよう働きかけておりますし、来週、民間組織であります国際知的財産保護フォーラムと政府が合同で中国にミッションを派遣します。そして、模倣品、海賊版取り締まりの一層の強化などを中国政府に申し入れるわけでございますが、これは、北京に言ったからといって、すぐ各省や各市がそのとおり動くかというとそうでもないので、それを細かく、各大都市や各省政府に当たるという、そんな作業もやるようでございます。
しかし、中国を初めアジア諸国での模倣品の問題は大変深刻化しておりまして、日本の企業の事業活動では、約七百社ほど影響を受けているというわけでございます。そこで、経済産業省としましては、今後、欧米諸国との連携も図りながら、官民挙げてこの対策強化のために頑張る、こういう状況でございます。
●中山(義)委員
つまり、私が言いたいのは、それだけ特許というものが大きな存在になってきているということを言いたいんですね。発明とかよその国のできないものが、やはり知的財産をとったことによって大変大きな力になる。逆に、外国にとられた場合には、それは大変な脅威になるわけですよ。ですから、特許というものが、どれだけ大きく大臣がそういう存在を見ているかということを先ほどから質問しているわけです。
ですから、職務発明やなんかの問題、三十五条の問題なんかも、そういう視点から物を見なきゃならないわけですね。やはり、ある会社で研究者が特許を生み出すということは、大変大きなことなんですね、その会社にとって。この辺の認識が欠けていると、三十五条の文言だけ幾ら変えてもだめだと思うんですよ。やはり社長が研究者のところへ時々は行って、よう、頑張っているかとか、たまには自分のうちへ呼んで一緒に食事するとか、評価というものがすごく大事だと思うんですね。国が知的財産を大変に思うように、企業も同じことを思わなきゃいけないというのがこの法律の趣旨だと私は思うんですよ。
結局、イノベーションというのは、やはり特許、発明だよ、新しいものをつくるんだよということがわからないと、この三十五条は、ただ文言変えただけでも意味がないんです。それと、三十五条をつくったことによって研究者から訴訟されることが抑制される、こんなけちな考えでこの法律を変えたら困るんです。私は、この法律を論議するときに、どれだけ企業にとって発明、発見が大きいか、特許をとることが大きな手段になるか、こういうことが問われているんだと思うんですね。
だからこそ、すごいものができれば、それで会社がもうけられる。だけれども、その評価というものを、単純に、裁判で訴えられたじゃなくて、その前に使用者と従業者がうまく折り合っていくというのは、やはり使っている側に、いかに特許が大切か、いかに特許で、イノベーションとしてよその企業に勝てる力をつけるんだ、こういうことが確認をされなきゃいけないわけでしょう。
だから、私は、この職務の問題、規定の問題がいろいろありますが、やはりこれは、各企業に指導するためには、大臣、あなたたちが、ある会社でイノベーションをするときに特許というものはすごく大きい、こういうことに対してもっと社長はしっかり評価をしなきゃいかぬとか、そういうようなやはりインセンティブが必要なんじゃないでしょうか。
だから、むしろ大臣だって、大臣賞を出したっていいじゃないですか、すばらしい発明には。知的財産戦略本部長というのは総理大臣なんですから、本当にいい発明したら、総理大臣が官邸に呼んで表彰したっていいくらいですよ。日本の企業がそうやって新しいイノベーションをつくるには、特許を主体にしていくんだというのがプロパテント政策でしょう。そのくらいもし経済産業省が思うのであれば、もっと発明者に対する評価というものを、お金だけじゃなくて、やはり国がそういうものを評価しなきゃだめだと思うんですね。
私たちだって、昔、電気はだれが発明したかとか何だとか、そういういろいろなものを読むのが大好きだったですよ。飛行機はライト兄弟が、その物語を随分読みましたよ。発明に対する工夫、そういうものに敬意を持っているんですよ。そういう敬意を持たないと、やはりそういう人たちが一生懸命新しいものをつくろうという気持ちにならないと思うんですね。私はそこが大事だと思うんですが、この法律案に関して、大臣、どうですか。
●中川国務大臣
今回御審議をお願いしているこの特許法の改正、特に三十五条に今、中山委員は言及されましたけれども、要は、私は、今回の条文だけではちょっと不十分だろうと思うんですけれども、委員と同じような実は認識を持っておりまして、小さい子供が、将来は第二のエジソンになるんだとか、第二の平賀源内になってみたいものだというインセンティブを持てるような、法律じゃなくて、そういう環境づくりにひとつ役立てるようなものにしていきたいなというふうに思っているわけでございます。
他方、この三十五条に限って申し上げますと、いわゆる職務発明でございますから、企業と発明者との関係ということで、これはなかなか難しいんだろうと私は思うんですね。いろいろな最近の判例等を見ていますと、二百億円とかあるいは他方は二万円とか、これはわかりませんけれども、ルールを厳密化する方向に行っているということの流れは、この法律によって読めるんだろうと思います。
例えば企業でいうと、企業にも経営の予測可能性とか、あるいはまた発明者の納得感とか満足感とか、その満足感が、知的財産本部の賞であったり、あるいはまた会社における昇進であったり、あるいは会社における報酬であったりと、これはなかなか難しいんだろうと思うんですけれども、いずれにしても、これははっきり申し上げると、企業における発明なり発見なり新たな技術開発が、企業のみならず日本にとってプラスになっていくんだというためのインセンティブにこの法律を何としても活用していきたいということは、多分、中山先生と私と共有できているんだろうと思います。
そういう意味で、三十五条についても、私も、実際やってみなきゃわからないというのは、条文を読んでいても、こんなことを言っちゃいけないんでしょうけれども、省内でも議論をしていて、企業との間できちっと話をするんだ、できなかったときには裁判に行くんだというんですけれども、要は、最終的には判決が決めるんだということで、それはそれで仕方がない。最後は話し合いがつかなければそうなるんですけれども、その前提をもう少しきちっと固めましょうという意味では、意味が大いにあるんだろうと思っております。
いずれにしても、日本の技術、日本は技術立国でなければならない、そして、そのためのインセンティブとして今度の特許法の改正があり、そして、それがきちっと発明者、あるいはまた企業であろうが大学であろうが研究所であろうが、それに対して役に立てるような体制づくりのために大いにこの法律の改正が役立っていくべきであるというふうに考えて、御審議をいただいているところでございます。
●中山(義)委員
これは先ほどからずうっと論議をしているんですが、要するに、発明者は発明の意欲を持って、知的財産というものが企業にとってすごく大切だ、それからもう一つは、国にとっても非常に大切な問題だという認識を共有するために、先ほどから、知的財産本部というのは骨太のそういう戦略を持っているのか、この知的財産をとったことによって国のイノベーションが進むんだという一つの見解、もう一つは、企業としても、発明者が意欲を持って取り組むためにはこの三十五条をどう活用したらいいかという考え方を私は聞いているのです。
特許庁長官、ちょっとぜひ意見を聞きたいんですが、要するに、発明者がもっと意欲を持って、しかも、社会的にも知的財産というものはすごく大きなものだという評価を、例えば企業の中だったら企業の中で、うちのこういう研究員がこんな発明をしたということを表にもっと宣伝するとか、何かそういう、やはりやった人の満足感とか新しいものを生み出したということに対する評価が低いので裁判になったりなんかすると思うんですよ。相当な対価というのは、ある企業がもうかったから、そのもうけの何分の一が知的財産をつくった人間に行くという、そんなけちなものじゃないと思うんですね、会社全体でつくるわけですから。だから、その辺の見識をちょっと説明してもらいたいと思うんです。
●今井政府参考人
お答え申し上げます。
この三十五条の改正をする前にアンケートをとりましたところ、報酬について、やはり納得感が少ないというのもかなりございました。そして、報酬規程について参画をするということによって、この納得感が高まるということについての発明者の御回答が約半分ほどございました。
そういうようなことを踏まえて今回の法律改正を御提案申し上げましたけれども、先生がおっしゃいますように、それのみならず、この二十六日には発明協会百周年記念ということで、これは天皇陛下から恩賜の発明表彰がございます。その上に、通産大臣表彰、また特許庁長官表彰などもあわせて行うことになっておりますけれども、そのような国家的な表彰、こういうものをもっと拡大していくでありますとか、それから、先ほど申しましたけれども、納得感でいいますと、やはり会社の社業がこれで非常に順調にいったとか、そういうことも発明の意欲をかき立てるものでございますので、そういうものを企業がくみ上げてエンカレッジするようなことというのを、私どももいろいろ工夫をしていきたいというふうに思います。
●中山(義)委員
今お話が具体的にありましたけれども、本当にやってくださいね。やはり物を発明した人の話というのは、ノーベル賞をとってからお二人がいろいろテレビに出てきて、我々も興味を持って聞いているじゃないですか。だから、物を発明するとか発見するとか、やはり新しいものをつくっていくというのはすごく大きいものだと思うんですね。
だから、学校教育の中にも、そういう知的財産というものが本当にこれからの世界を動かす大きなものだという認識を持たせるように努力をしなければいけないと思うんですよ。それがないから何か裁判みたくなってみたり、知的財産というものを簡単に侵害する人が出てきたり、そういうことがないように、やはり知的財産というのをどうやって日本の国の産業に位置づけていくかということをもっと表に打ち出さなきゃいけない。そういう知的な国だということを日本はもっと表に出していいと思う。
それをお願いしたいんだけれども、日本人の特に悪いところで、そういうことが下手なんじゃないかと思うんですが、総理大臣なんかはもっと出てきてやらなきゃだめだと思うんですね。だって、物が発明されなきゃだめですよ、今の日本は。物をつくるのは、手が器用だからどんどん量をつくっているんじゃなくて、オンリーワンの世界にやはり会社がなっていかなきゃいけない、うちの会社しかつくれない。
そういう意味で、研究者に対しては、やはりもっと違った方式でそれなりの評価を与えていく。だから、対価というよりも、対価というとお金みたいなんだけれども、やはり評価をもっと考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
大臣、本当に、大臣賞とかなんとかもっと掲げて、いい発明をした会社とか、会社も研究者も同時に、日本の国に貢献したというか、そういうことをやはりやるべきだと思うんですね。子供たちにも、こんな発明があるんだということをもっとやるべきじゃないですかね。その辺、いかがですか。大臣がもっとぶち上げてもらって、この知的財産というものを表に出してもらいたいと思うんですね。
●中川国務大臣
すばらしい知的財産、知的財産というのはある意味では非常に幅が広いものですから、例えば音楽であるとかデザインであるとか、いろいろな分野になりますけれども、さっき言ったように、世界に冠たるものを日本が、日本人があるいは日本の組織、パワーがそういうものをつくったということに対して大いにインセンティブを与えてあげるということは、中山委員おっしゃるとおりであります。
その場合に、中川賞というのは余りちょっとぴんとこない、何か力が抜けちゃうのでありますけれども、例えば、ドイツでいうとマイスター制度、フランスでいうとMOFというんだそうですけれども、先日フランスへ行って勉強してまいりましたが、フランス語はわかりませんが、ベスト・クラフトマンシップ・オブ・フランス、MOFという制度があって、非常にこれは権威が高い。
ですから、これは、総理大臣であるか、もっと権威の高い方であるか、あるいは国権の最高機関たる国会であるかは別にして、子供たち、若い人たち、あるいは功成り遂げた人間国宝含めて大いにやりたいと実は私自身思っておりまして、中川賞なんてつくったって、逆に、何だ中川か、年金払っていない者からもらってもしようがないじゃないかなんと、これじゃ困るわけですから、きちっとした権威のあるものでもってやるように、今実は皆さんとともにお知恵を絞りたいというふうに考えているところでございます。
●中山(義)委員
いや、僕は、全体の今までのプロパテント政策をずっと、政府の戦略本部だ何だといっても、何かまだひとつ表に出てきていないような気がするし、中国との関係だって、中国に対する日本が、輸出、輸入も相当大きな市場になってきているわけですよ。だから、多くの方たちが、コンテンツの問題やなんかでアジアの市場というものに対して今非常にいろいろな心配をしたり目を向けているわけですね。
だから、私たちは、知的財産というものはどういうものなのか、もう一度確認の意味でも、しっかりした具体的な案をしっかり政府が出すのがいいんだろう、こう思うんですね。さっき言ったように、総理大臣に握手されて頑張ってくれというのは、やはり相当な対価じゃなくて、相当な評価をされたというところがあると思うんです。
ですから、私が言いたいのは、おれも発明してやろう、おれも日本の国のために何かやってやろう、末は博士か大臣か、大臣の方は年金払わないからそれはあれなんですが、せめて博士の方になりたいという気持ちをやはりみんなが持つような、そういう社会をつくらなきゃいけない。私はそういうことを言っているので、この点すごく大きなことだと思いますので、ひとつ具体的に何か考えてやってくださいよ。我々の委員会に示してくださいよ。我々は知的財産をこれだけ大切にやっているので、これだけ具体的に表彰規定を設けたとかね。
これは三十五条にも関係するんですよ。会社だけがやってもだめなんだ。やはり国民全体が、そういう国の力をつくり上げてきた人たちに対する評価というのをしっかりしなきゃいけない、私はそう思うんです。ぜひ具体的なものをつくっていただいて、表彰規定やなんかもはっきりお示しをいただきたいと思います。
それから、やはりサイクルが早いので、発明をしても出願をしなきゃいけないわけですね。特許をとるためにはそういう手続が要るわけですね、日本の場合には。発明主義じゃありませんし、出願されて、それから特許をとるまでの時間がかかり過ぎるというのが大きな問題でありまして、今までどうやってやってきたか。
私たちも、弁理士法改正からずっとやってきたんですが、この話の中にも余り弁理士さんの役目というのが出てこないんですが、すべて特許にかかわっている人たちが、どのようにかかわって、どのようにやったら一番早くなっていくかということを考えてはいると思うんですが、弁理士という話が余り出てこないんです。
私は、弁理士法を改正したときに、弁理士さんがもっとふえれば、もっと特許の審査なんかもどんどん早くなっていくのか、こう思ったんですけれども、何かそういうような役割分担がしっかりされていないんじゃないかと思うんです。今回も新しい形で、委任審査官ですか、審査をする人に何か十年ぐらい委任してやっていくとかといういろいろなアイデアはわかるんです。だけれども、一本筋が通って、絶対に早くなるという役割分担みたいなものが見えないんですよね。その辺はいかがでしょうか。
●今井政府参考人
今般の法律には直接関係いたしませんけれども、先生がおっしゃいました任期つき審査官を増員する、これは国会の方での御審議のフォローアップといいますか、新しい施策でございますか、それに加えまして、弁理士につきましても御協力いただくということでございます。
審議会の作業部会におきまして、弁理士会の代表の方にも委員になっていただきまして、迅速、的確な特許審査に向けた弁理士の役割、貢献について議論をしていただきました。
そして、弁理士会の方からも御協力を賜りまして、現在、適切な出願書類の作成、明確な明細書、そういうものについて弁理士会の方で徹底していただく。それから、中小企業の方が、出願人の方が最適な弁理士さんを選ぶための弁理士情報の公開、これも弁理士会の方からお願いしております。
また、特許の場合は複数の弁理士の方が出願に関係をされます。そして、今、審査の促進といいますか審査の適正化という観点から、一人の弁理士さんを決めてもらいまして、その人と直接相対で議論をさせてもらう、技術内容についての把握をさせてもらうということで、担当弁理士ということで、これも弁理士会にお願いして決めていただきまして、丸をつけていただきまして、その人と特許庁の審査官が議論をするという形でございます。
このように、弁理士会の方にも御協力をいただきまして、徹底をしてお願いして分担をさせていただいておるところでございます。
●中山(義)委員
いろいろ、今も言った人たちがふえていくというのはわかるんですが、やはり熟練を要する仕事ですわね。それで、十年間で期限を切っているということで、せっかく熟練性が出てきたところでもうおしまいというのじゃ、やはり熟練をどうやって重ねていくかということが大事だと思うんですよ。
それで、私は、この特許審査順番待ち期間ゼロ、これはどこかに打ち出すんですか、大々的に。何かこういう看板を出したら、やはり本当にそうならなきゃいけないわけですよ。これをやはり大臣の一番の目玉として、特許審査、待機はゼロだ、こういうことを本当に具体的に出してくださいよ。どこかにこれは見えなきゃ、こんなところに書いたってね。どうなんですか。
●今井政府参考人
先ほどの任期つき審査官につきましては、今回、今度の予算、十六年度の予算で九十八名、これは経済産業省としては恐らく例外、初めてだと思いますが、大臣折衝で、ある意味で格別の配慮をしていただいてつけてもらったものでございます。新しく増員費等を認められたものでございます。そして、そういうものの上に立って、今国会の総理所信表明では、審査待ち期間ゼロということを宣言されました。
そして、知財基本法に推進計画というのがございます。これは知財そのものの一番大事な法律で、推進計画そのものに、審査待ち期間ゼロ、それから、これからどういう過程を通ってそこに行く、どういう施策を講ずるのかということを書き込んでいきたいというふうに思っております。
●中山(義)委員
これはちゃんと根拠のある看板をつくれるということですね。間違いないわけですね。
ちょっともう一回、何年間で、何年たったらできるのか、はっきりしてもらえませんかね。
●今井政府参考人
特許というのは、一度未処理案件、審査待ち案件がたまりますと、この処理に非常に大きな期間がかかります。現に、八十万件という巨大な審査待ち案件がたまる可能性が高いわけでございます。そして、現在の私どもの審査処理能力というのは二十二万件でございますので、相当大きな数字でございます。
したがいまして、非常に持続的に対応していかなきゃならないわけでございますが、十年ぐらいのスパンでこれに対応していって、十年で世界一の水準になる。そして、任期つきの審査官が、私どもこれから百人ずつ五年間採用して、そうすると、十四年ぐらいたつとこの任期つき審査官がいなくなるわけでございますが、その段階では審査待ち期間はゼロになるということで、非常に長い期間を要しますが、一刻も早くそれに邁進をしていきたいというふうに思っております。
●中山(義)委員
弁理士さんはどうかかわってくるんですか、外部的に、アウトソーシングも含めて。今の審査官だけじゃなくて、いろいろ、そういう発明者と一緒になって、それぞれ分担してやるわけですが、弁理士さんはそこにどうかかわってくるんですか。
●今井政府参考人
審査処理全般に弁理士さんには協力していただこうということで、先ほど申しましたように、担当弁理士というのを明確にしてもらって、その人と直接接触できるような形にしてもらいたいでありますとか、明細書につきましても、私どもと相談をしながら書き方について明確化を図っていただいて、処理の促進に役立つようにお願いしたいということで、それぞれについて、テーマについて弁理士会の方と相談をして、一体となって未処理案件の処理を進めていきたいというふうに考えております。
●中山(義)委員
先ほどから質問していて、特許がやはり国の戦略として一番根幹に据えるものだ、イノベーションの手段であるということはわかりましたので、もっと特許戦略についても、具体的にはっきり政府の方でもやってもらいたいと思うんですね。
それから、先ほどの、企業はやはり特許が大事だ、特許がないと企業はなえていっちゃう。だから、やはり企業の中にどうしても特許を、すばらしいものをつくろうとか新しい発明をしようという意欲は三十五条の中にもっとしっかり盛り込んで、または大臣なり総理が、表彰規定や何かでそういう発明した人をもっと表に出して、すばらしい発明だ、日本のためにこれだけ大きな力を発揮した、こういうことをやってもらいたいというのが第二点です。
それから第三点については、やはり迅速化の問題なんですね。迅速化にはいろいろな方法があるけれども、これは、十年たつと世界一になるというのは本当なんですね。世界一になるんですね。今は世界第何位なんですか。銅メダルぐらいですか。
●今井政府参考人
現在、ファーストアクションということで、出願をして、審査請求をしていただいて後、審査に着手するまで、審査順番待ち期間でございますが、これは二十六カ月でございます。
アメリカは今十七カ月。アメリカも大変で、これを五年ほどかけて十四カ月に戻そうということで、最大限努力されております。ヨーロッパは二十三カ月。これは、実は、ヨーロッパの場合、十八カ月でサーチレポートということでレポートが出ますので、十八カ月たつと大体特許がなるかならないかというのが、イメージがわかるということでございますので、その意味からすると十八カ月で一年半、ヨーロッパの場合一年半で一つの区切りが来る。アメリカは十七カ月、日本は二十六カ月。
そして、それがこれから非常に長くなる可能性がありますので、今般の措置等によりまして、何とか世界一の水準、その後は審査待ち期間ゼロという、世界最高のというか世界で未踏のことをやるということで努力しているところでございます。
●中山(義)委員
大臣、これはここではっきりしてもらいたいんですが、十年たったら世界一、約束してくださいよ。約束してください。審査の順番待ち期間ゼロ、これは絶対なくすということを言ってください。
私は、やはり知的財産の問題というのはよほど意欲を持って、相当表にぼんと押し出すようなことは、この委員会でやってくださいよ、この委員会で。我々は、三十五条の問題も、あくまでも、会社に勤めた人が発明の意欲を持って取り組んでいくんだ、それから、一番初めに言ったのは、世界的な戦略を持ってこの知的財産権を使っていこう、これも確認しましたからね。三番目は、いかに早く特許が世に出るかということだと思うんですね。いい特許が世に出るか。だから、十年たったら世界一、絶対私がやると言ってください。
私は、これは、経済産業省が最近ちょっと影が薄いような気がするの、これをばんと打ち出してくださいよ。
●中川国務大臣
今特許庁長官からも答弁しましたけれども、四十数万件、約五十万件、二十六カ月、もう約二年以上待っている。その間にいろいろな、知恵ですから、待っている間に大変なロスがあるんだろうと思います。
これを、待機待ちゼロというのは、厳密に言いますと、何か申請するとすぐ特許が出てくるんじゃないかみたいな感じになりますけれども、そうじゃないことは中山委員も御認識のとおりだと思いますが、いずれにしても、任期つき審査官を五年で五百人、約五百人を充実することによって、いわゆる通知から決裁までがゼロという感じでしたか、ちょっと後で、細かい、何がゼロかということをきちっとここで委員の皆さん方に御説明した方がと思いますが、いずれにしてもゼロ。
待機待ちも、ただひたすら黙って待っているのがゼロということを、十年かけて、へたすると八十万件になっちゃうものをゼロにしようというんだったら、これはすごいことでありまして、すごいと言っているだけじゃだめなので、やらなきゃいけないわけでございまして、これをぜひやっていく。やっていくということに対して、経済産業省、特許庁が全力を挙げて取り組んでいる、この意気込みがまさに知的財産立国の一つの大きな柱であるという意識を、私ども経済産業省、特許庁の人間は持っているわけでありますから、万が一できなかったらおまえどうするんだと言われると非常に困りますけれども、待機待ちゼロを目指して全力を挙げてやっていくということだけはこの場でお誓いをして、努力をしていきたいと思っております。
●中山(義)委員
済みません、時間終わったんですが、今大臣から長官の方に御指名があったので、これからお答えすることは我々との約束ですから、本当に十年たったら待機者がゼロになる、そして早く世に知的財産が出ていく、しかもすばらしい企業のイノベーションになる、日本の産業の活力がつく、競争力がつく、こういうことなんですから、私は重く受けとめますから、待機者ゼロとここではっきり、最後、宣言して、もう一度、どういうことなのかも皆さんに説明して、約束をしてください。
●今井政府参考人
今大臣がお話しになりましたように、手続的に、出願があって、審査請求をして、物理的にというか、最低必要な期間が例えば一月とか、そういうのはかかります。それで、審査官の手元に案件が参ります。その審査官の手元に行ったらもうほとんどゼロというかゼロで、待ち時間ゼロで進んでいくというのが私どもの理想でございます。
そのために、任期つき審査官五百人をこれから五年間にわたって積んでいきますので、ふやしていきますので、その意味で、最終的なおしりは十四、五年、十四年ぐらいかかりますけれども、その段階では審査待ち期間ゼロ。その途中の段階でアメリカを追い抜いて、世界最高の審査にしていきたいというふうに思っております。
●中山(義)委員
オリンピックが近いんですから、目指すは金メダルですよ。何としても世界一になろうという意欲が経済産業省にみなぎっていなきゃだめだと思いますので、その辺をお願いいたしまして、質問を終わります。
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