日英議連議事録 〜日英議連視察(イギリス→フランス)〜
- 会談日程
- 会談概要
- ロード・ハウエル保守党上院外交問題スポークスマンとの会談
- ビル・ラメル外務政務次官との会談
- ジェーン・グリフィス英日議連事務局長(労働党下院議員)及び
ロード・リエル保守党上院議員との懇談 - リチャード・スプリング保守党下院外交問題スポークスマン(影の外務閣外大臣)との会談
- ジョン・チャップマン国際戦略問題研究所(IISS)所長及びアダム・ウォード上席研究員
(東アジア安全保障担当)との会談 - 松浦ユネスコ事務局長との会談
- グルドー・モンターニュ大統領顧問との会談
- ケバル社会党国際担当スタッフとの会談
- モイジ仏国際関係研究所(IFRI)特別顧問との会談
- カンタン仏日友好議員連盟会長との会談
- バイルー仏民主連合(UDF)党首との会談
● イギリス
7月15日(木)
9:15〜10:00 ロード・ハウエル保守党上院外交問題スポークスマンとの会談
(於:上院Committee Room G)
11:00〜12:00 ビル・ラメル外務政務次官との会談
(於:英国外務省)
14:00〜 ジェーン・グリフィス英日議員連盟事務局長(労働党下院議員)及び
ロード・リエル保守党上院議員との懇談
(於:Portcullis議員会館Thatcher Room)
15:00〜15:30 リチャード・スプリング保守党下院外交問題スポークスマン(影の外務閣外大臣)との会談
(於:No1 Parliament Building Room B)
7月16日(金)
11:00〜 ジョン・チャップマン国際戦略問題研究所(IISS)所長及び
アダム・ウォード上席研究員(東アジア安全保障担当)との会談
(於:同研究所)
● フランス
7月19日(日)
10:30〜 松浦ユネスコ事務局長との会談
(於:ユネスコ本部)
11:45〜 グルドー・モンターニュ大統領顧問との会談
(於:大統領府)
16:00〜 ケバル社会党国際担当スタッフとの会談
(於:社会党本部)
7月20日(日)
10:00〜 ドミニク・モイジ仏国際関係研究所(IFRI)特別顧問との会談
(於:先方自宅)
16:15〜 カンタン仏日友好議員連盟会長(国民運動連合)
(於:国民議会)
17:30〜 バイルー仏民主連合(UDF)党首との会談
(於:UDF党本部)
● ロード・ハウエル保守党上院外交問題スポークスマンとの会談
日時:7月15日(木) 9:15〜10:10 於:上院
○訪問団よりの発言
・ イラク戦につき民主党は反対であること、国連の下での参加の可能性はあることを説明。
・ 新たな安保理決議を得ずに国際法上の根拠が曖昧なまま戦争に突入したことが混乱の原因。
・ イラク戦は、9・11、WMD、先制攻撃と大義が変遷したことは問題。
・ IISS報告書ではイラク戦の結果、テロの脅威は逆に拡大したとされるが如何か。
・ 安保理決議1546はできたが、仏独が動こうとしない。またこの決議に対する評価は保守党と労働党で異なるか。
○ハウエル保守党上院外交問題スポークスマンよりの発言
・ 英国には、イラク・中東とEUとの2つの問題がある。保守党はイラク戦に賛成した。イラク問題は中東地域の安定の鍵を握る問題であり関与を避けることはできないが、ブッシュの発言と態度は配慮が足りず賛成できないこともある。ケリー候補が大統領となれば改善されるかもしれない。
・ イラク戦に関しては英国内の支持も半々である。イラク戦の最終的な評価はイラクの状況が改善するか否かで下される。
・ 9・11にはイラクも関与していた。フセインはハマスなどのテロ組織を支持していた。これが先制攻撃につながった。
・ イラク戦の結果テロの脅威は短期的には拡大したが、長期的かつ広い視点が必要。
・ 仏独はNATOによるイラク治安機関の訓練に消極的である。仏との関係は「結婚」のように難しい。
・ 安保理決議に関しては、保守党・労働党とも歓迎しており評価に違いはない。
・ 欧州憲法、ユーロ加入は不要である。英国民は保守党よりさらに反EUである。先の地方選で英国独立党が躍進したことはその証左。
日時:7月15日(木) 11:00〜12:00 於:英国外務省
○訪問団よりの発言
・ WMDの存在が確認されていない状態での戦争突入は正当性に欠ける。現状における自衛隊派遣に対し反対。
・ 日本の軍事的貢献につき、アジア諸国との軋轢問題が存在、その中で自衛隊は専守防衛に徹し、国連待機部隊を組織した上で、国連主導下での国際平和協力部隊による参加の可能性あり。
・ 日本はODA・国連分担金等で既に十分貢献している実態を説明。
・ 日米相互依存関係下におけるイラク派兵の必要性の議論が存在。
・ 北朝鮮拉致問題につき、数百人の未確認者が拉致されている可能性があり、この解決が日朝間の信頼回復の前提となる。
・ 冷戦後の米国一局支配の一方で、EU、中国、ロシアが台頭してきており、米国の存在意義を見直すべき。米国にはっきりものを言うべき。
○ラメル外務政務次官よりの発言
・ ビジネス・投資・防衛・戦略的問題に関し、日英関係の重要性を強調。
・ 英国として国連改革を推進し、安保理を拡大、日本の常任理事国入りを支持。
・ 6者会合を通じて北朝鮮核開発計画を放棄するべく説得必要。
・ イラク問題に関しては英国でも世論を二分する状況であるが、フセインが過去に大量破壊兵器を保有かつ使用した事実、国連の査察に非協力的であったことを鑑みれば、対イラク戦は正当化される。
・ 日本のイラク復興支援に感謝。イラクの人々の将来の再建のために尽力する必要性については意見の一致が得られると考える。
・ 日本の歴史的事情は理解するが、英国もアジア諸国も60年前の日本と現在は異なることを理解していると考える。日本は様々な分野で積極的役割を果たしうるし、この点についての国内での一致が得られれば良いと思う。
・ 軍事分野以外での日本の貢献については十分承知している。
・ 英国はEUの一員として米英間の橋渡しをしたい。米国に対してはプライベートな形ではっきりとものを言っている。「ロードマップ」の進展の必要性についても米国に指摘している。
・ イラク問題では、英国から米国に対する働きかけがなければ国連の関与と支援をここまでは得られなかったと考える。
・ 国連の改革は重要であり、国連が能力を高め、国連を通じて様々な課題に対応できるようになることが望ましい。
● ジェーン・グリフィス英日議連事務局長(労働党下院議員)及びロード・リエル保守党上院議員との懇談
日時:7月15日(木) 14:00〜15:00 於:ポートカリス議員会館
○訪問団よりの発言
・ 来年の総選挙を英国のそれぞれの政党がどう戦うか。
・ 日本の規制緩和は自民党が行っているとの認識は正しくない。自民党は規制の党であり、民主党こそが規制緩和の党であり、かつ闇雲な規制撤廃を行うのではなく、確たる考え方に基づくものである。
・ 日本外交における日米関係、地位協定の問題、一方で中国との関係、北朝鮮問題がある。イラク戦争を通じ国民の間に日米関係に対する疑問が広がりつつある。
・ 国連の機能強化が必要である。
○英国日英議連よりの発言
・ 日本の金融庁の規制はいかがなものか。日本が2大政党制になっても規制緩和は引続き進められるのか。
・ 規制緩和一辺倒は問題である。必要な規制は存続すべきである。
1980年代に日産が英国に工場を持った後、トヨタ、ホンダなどの自動車メーカーが次々と工場を持った。日本からの投資は英国の発展に寄与した。
● リチャード・スプリング保守党下院外交問題スポークスマン(影の外務閣外大臣)との会談
日時:7月15日(木) 15:00〜15:35 於:下院
○訪問団よりの発言
・ 最近の英米関係について。
・ 小泉総理はブッシュに盲従している。ブッシュと米国は別物であり、対ブッシュ関係以外の日米関係を損なう恐れがある。
・ 日英はともに島国であり、天皇制・王室制を持ち類似している。英米は、双子の兄弟といわれるが、今後は、「日英」対「米」で外交を行うことを提案する。
・ 本日の補欠選挙の情勢について。
・ 民主党は英国を参考にマニュフェストを作成しているが、特殊な広報は行っていない。今回の参議院選挙の結果はむしろ敵失によるもの。小泉政権は確固たる政策を持たず底の浅さが露呈してきている。
○スプリング保守党下院外交スポークスマンよりの発言
・ サーッチャー・ブッシュ時代に比し、現在の英国はアメリカから見て弱いパートナーになっている。
・ 保守党の中にはネオコンの影響力に対する反発から共和党よりも民主党との関係を強化したいグループが存在する。
・ 英国はかつて中東に対し強い影響力をもっていたが、イラク戦争以降、中東に対する影響力は低下している。
・ 保守党は米国との関係を以前のように平等な関係に戻したいと考えている。
・ 米国との関係は「親戚」のようなものでありこの関係はずっと続くと考える。
・ 日本からは多くの教わることがある。電車をいかに良く走らせるかという問題は現在英国が最も困っている問題の一つである。
・ 1980年代に多くの日本企業が進出したが、皆高度な技術を持っており賞賛する。今後もこの力が維持されることを望む。
・ 補欠選挙に関して、2議席とも労働党の議席であったが、労働党の支持は減っている。最近第3政党である自民党が勢力を伸ばしている。
・ 日本の民主党の党勢拡大にあたり、”sound bite”等、特別な広報戦略を取ったのか。ブレアはマニュフェストの内容を極端に短くし、「教育・教育・教育」と短いフレーズを繰り返すことによりメディアに出やすくし世論を操作した。
●ジョン・チャップマン国際戦略問題研究所(IISS)所長及びアダム・ウォード上席研究員(東アジア安全保障担当)との会談
日時:7月16日(金) 11:00〜12:15 於:IISS
○訪問団よりの発言
・ シャングリラ会合への招待受諾表明。
・ イラク参戦とWMD未発見につき問題提起。
・ 憲法の制約下、自衛隊の役割・あり方につき難しい議論となっている。日本が核抑止能力を持つことの議論も有。
・ 国連の重要性が増す中、国連の処理能力がないことに失望。国連中心の安全保障を考える上での知恵はないか。
○IISS側よりの発言
・ 明年のシャングリラ会合への民主党議員の招待を伝達。同様の会合を12月にバーレーンで開催予定であり日本の国会議員の参加を期待する。
・ イラク側が累次の国連決議を違反していたことは事実である。
・ 日本の核能力保有は日米の信頼関係が完全に崩壊した場合のみに起こるものと考えるが、アジアで制御不能な反応を招く可能性がある。
・ 先のIISSの北朝鮮のWMD開発能力の報告書の内容。北朝鮮は最後まで核開発計画を放棄しようとしないだろう。
日本における国連中心の安全保障の考え方は政策担当者により歪曲されることがある。イラク参戦にあたっても国連が戦争の正当性のために用いられたが、実際は米国の政策に引っ張られて国連を正当性の理由付けに用いたに過ぎない。日本として「国連中心の安全保障」の内容をしっかり定義すること、その関連で憲法の改正の必要性、現行憲法の枠内で何ができるかできないかなどをはっきりさせておくことが必要である。定義が曖昧な中での政策担当者による「操作」を排するべき。国連の強化、効率化も同時に重要な課題である。
7月19日(月) 10:00〜 於:ユネスコ本部
(参加者:鳩山、中山、牧野、大谷のみ)
松浦事務局長より、ユネスコの役割として「文化間の対話」を強化して行きたいとの思いと実行例などについて、現状報告をいただいた。具体例として、バルカン半島諸国の7名の大統領が、ユネスコのコーディネートにより一同に会して初めて会議を開いたことなどがあげられた。国連への不信を持っている国があるが、今後は地味な活動ではあるが、着実に成果を上げているユネスコへの期待が高まりつつある。
本年より米国が10年ぶりにユネスコへ再入会した。米大統領選挙の結果とユネスコが受ける影響について意見交換をした。
無形文化遺産の今後のあり方について意見交換をした。鳩山団長よりアイヌ文化を、牧野団員からは富士山を今後の向け異文化遺産の対象にできたらとの提案と可能性について意見交換をした。
松浦事務局長からは、日本のODA額の減少について再考していただきたいとの意見をいただいた。
7月19日(月) 11:45〜 於:大統領府
日時:7月19日(月) 16:00〜 於:社会党本部
フランスで先日行われた地方議会選挙についてうかがった。社会党が勝利したが、イラク戦争は地方議会選挙の争点とならなかった。社会党が勝利した理由は、与党の社会政策が経営者には有利でサラリーマンには不利な内容だった、経済運営の失敗、前回の大統領選で敗北した社会党が穏健な社会民主主義を維持する方針を選択した、の3つである。
次期大統領選挙におけるUDF(仏民主連合)との連立の可能性についてうかがった。先の地方議会選挙及び欧州議会選挙では社会党が首位に立っているので、大統領選の第一回投票でも社会党候補が首位なるだろう。従って、連立は社会党以外の候補(おそらくUDF(仏民主連合))の選択によって決まるとのことだった。
次期大統領選挙に向けた社会党の政策については、雇用を拡大して失業率を低下させて、経済成長及び赤字財政の解消を図る。具体的には失業対策として企業の新規雇用を促進するとともに間接税の軽減を図る。また農業への補助金を削減するとのことだった。その他、現政権が進める地方分権の問題点(責任を地方に押し付け財源は移譲しない)などの話しがあった。
7月20日(火) 10:00〜 於:先方自宅
EU建設についてうかがった。欧州諸国が互いに争うことが無意味と認識した、第二次大戦の戦勝国英・仏と敗戦国独が和解できた、経済統合を先行させて欧州市民という意識を醸成できたという三点が欧州建設を成功させる鍵となった。アジア共同体の建設については、日本人は自らがアジア人という感覚がないなら、建設は困難だろうとのことだった。
ドイツの戦後補償と和解については、ドイツがまず罪を認め、その後に補償問題の対応をしたことを強調。仏、独、ポーランド及び日、中、韓の代表を集め、日本主導でアジアにおける和解の必要性を考える会議を開いたらどうかという意見であった。
アジアにおける通貨統合については、長期的に可能かもしれないが、各国の経済状況が大幅に異なるので短期的には実現困難。日韓間では可能かもしれないが、中国を加えようとしても、民主主義国ではないので経済に政府の恣意的な介入を受ける恐れがあるとのことだった。
国連が機能を十分に発揮できていないことについては、国家主権の制限が不完全、最大の軍事力を持つアメリカが国連と協力する意志をもたない、安保理の代表性などに問題があると指摘。日本が安保理の常任理事国になることには賛成だが、その前にアジア諸国と和解し、民主的なアジアの代表としてメンバーに加わるのが望ましいという話しがあった。
日時:7月20日(火) 16:15〜 於:国民議会
現在仏で行われている医療保険改革は仏の人口問題に起因する大きな課題である。改革はどこの国でも国民からの人気がなく、改革をした政党が選挙で負ける。日本でも同様に先般の参院選において民主党が勝利したと考える。
日仏は両国とも長寿国という共通の人口問題を抱えている。仏の出生率は日本に比べて高いが、近年日本は経済が復活してきている。仏も日本の経済回復を見習いたい。
日仏関係は議員レベルでも国民レベルでも深まっている。ただし、年間100万人の日本人がフランスを訪れる一方、フランス人は年間8万人しか日本に行かない。このため日本が「ようこそ日本」キャンペーンをやっていると承知しているとの話しがあった。
また、鳩山団長より、超党派の日仏友好議連とは別に、民主党内にも日仏友好議連を設置したいとの発言がなされた。
日時:7月20日(火) 17:30〜 於:UDF本部
(以下は、質疑におけるサンティーニ副党首(国民議会議員、イッシー・レ・ムリノ市長)の発言)
フランスの防衛戦略についてうかがった。仏の防衛戦略はドゴール将軍以来、仏を攻撃しようとすれば逆にその国が計り知れない損害を受けるような核抑止力を持つというものである。冷戦が終了し、戦略の変更を迫られたが、ロシアの危険性は変わらない。米国に対して攻撃的な意図はないが、仏は核兵器の自立性を確保するため、核兵器を自国で製造している。また、世界中で核兵器を保有する国が増加した。米国一国で世界の警察官の役割を果たすのは困難であり、仏も陸・海の通常戦力の遠方展開能力が重要と考えている。仏は独と共に欧州軍団を創設し、現在では英、スペイン、イタリア等も参加しているが、過去の経緯もあって協力の上で難しい面もあるとのことである。
あわせて、仏で認められている国会議員と地方自治体の長の兼職制度についてうかがった。世界的にも例外的と承知しているが、この制度を維持すべきと考える。中央集権的な制度の中でよい市長であるためには、同時に国民議会議員であることが有益である。仏の官僚組織は優秀だが現場を知らない。これに対して国民議会議員、上院議員、市長は現場をよく知っているからだ、とのことだった。